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2013/03/24

日本人の英語が上達しない理由

知人からこんな話を聞いた。

講師として教え始めた某ゼミナールで、中学生に「そんなに気取って読まなくても…」と言われ、イヤな思いをしたと。

50代後半で、塾とは関係のない本業を持つ彼には、相当こたえたらしい。

そもそも今の若い世代は年長者に対するリスペクト
(※)が足りない。そうでない者もいるがこの例のように平気で失礼なことをいう者が目立つ。

 
(※)リスペクト(respect)とは、その人の価値を認め、意見や考えを尊重すること。上下関係に基づく「尊敬」や「敬意」とは少し違います。

たしかに塾はサービス業だからお客である生徒が満足するようにすべきであろう。しかし、だからといって何を言ってもいいはずがない。

この発言は
単に近頃の若者は悪平等主義か何かの影響で経験豊富な人(※)から学ぶ姿勢が無くなった、というにとどまらない。

 (※)目上の人という言葉は使いづらくなった。現在この国では「上から目線」はすべていけないことになっている。

実は、もっと根本的な問題をはらんでいる。そしてそれは、いじめ問題と深くつながっている。


日本人の英語力が伸びない理由として
次の2つが挙げられる。

1つは、日本人が完璧主義すぎること。そしてもう一つは恥の文化と深く関わるが
失敗を怖れる気持ちが強すぎること。間違えるのが恥ずかしいから、あえてチャレンジしない。「縮み思考」である。言うまでもなく、間違えずに語学を習得することなどできない。

そして2つ目の理由に影響を与えているのが、自分の属す集団の、異なる価値を認めない空気である。

教室の前の壁には、金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」という掲示があったりするが
現状はそれとはほど遠い。(だから張ってあるわけだが。)

私も経験があるが、たとえば帰国子女は、英語の時間、なるべく英語らしい発音をしようとしない。わざと日本人的な発音をするのだ。英語本来の発音をすると非日本人と思われ、いじめの対象になるからだ


このように日本では
マジョリティーが異なる価値観や行動パターンを持つマイノリティーに対し、集団的圧力をかけ続けている。

いじめの主因もまさにここにあり、集団から何かが少しでも外れているといじめのターゲットにされる。勉強ができてもいじめられる。

英語の場合も同じで英語らしい発音をしようものなら何だあいつはということになる。だから英語が好きでよくできる子は、なるべく目立たないように勉強し、ペーパー試験で良い点を取る。けれども話すのは、練習の絶対量が足りず、うまくできない。

こんな状況が戦後ずっと続いて来た。そうこうするうちに、英語の運用力の点で、韓国や中国に大きく水をあけられてしまった。

楽天の三木谷社長が『たかが英語』という本を書いた気持ちがよくわかる。

これからは、日本語か英語かではなく、日本語も英語もしっかり身につける必要がある。ある研究によると、外国語を学ぶことで母語の習得にも相乗効果があるということである。(もちろん、あまりに早い時期から英語にさらされると母語を喪失しかねない。この点は注意が必要だ。)小学校5年生から必修化された英語も、週にたった1回、年35コマしかなく、それほど他教科に影響を与えるとは思えない。

今や英語は単なるコミュニケーションの道具で、ネイティブの「専売特許
」でもなんでもない。同じアジア人同士でも共通言語は英語である。

「そんなに気取って読まなくても…」と言った生徒は、はからずも学校教育が昔と何も変わっていないことを示した。

自分とは異なる価値を認めない社会からイノベーションは生まれない。このままいけばガラパゴス化が加速するだけだ。

異なる価値を認め、もっと積極的に取り入れない限り、自国の中での堂々巡り
(=閉塞状況)はいつまでも続くだろう。

いじめがなくならない理由と英語がうまくならない理由は、通底しているのである。

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