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2012/09/25

もっとよくなる学校教育〜2

前回のひとりブレストを基に、学校教育の問題点を4つの柱に分けて考えてみます。

1.行政の問題
2.教員の問題
3.親の問題
4.地域の問題

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1.行政の問題

 教育予算の不足

 悲しいことに日本の教育予算は先進国中最低です。もっとお金を子どもたちのために使わないと明日の日本はありません。教育は票に結びつかないという理由で積極的に動かない政治家が多いと聞きます。本当でしょうか? 

 教育予算は、未来への投資です。子どもたちがより良い教育を受けられるようにするのは、私たち一人一人の責任です。

 お金が不足しているため起きている現実

・少人数教育が行われていない
 平成17年までに公立小中学校の全学年が35人学級を目指すことになりましたが、35人でも多すぎます。基本的なしつけができていない児童・生徒が多い今日、担任1人で35人を見るのは無理があります。2人担当制(ティームティーチング)等の導入が不可欠です。

・教育設備の遅れ
 発展途上国の教育関係者が日本の学校を視察に訪れ、ハイテク日本の教室があまりにお粗末なので驚いて帰国した、という笑えない話があります。
 特に高校の校舎の老朽化が進み、小中の校舎に比べて明らかに見劣りのする校舎が多くあります。校舎は子どもたちが一日の大半を過ごす場所。居心地の良い空間をつくってあげたいものです。 
 
・ICT教育の遅れ
 設備にお金がかかるため、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術教育)が先進校以外、ほとんど進んでいない。「情報」教育自体、受験科目に関係ないため重視されていない。
 
・講師の数の増大
 非常勤および常勤講師の数が増えている。正規の教諭採用による人件費を削減するため、常勤講師の枠を設け、教諭採用を控えている。生徒にとっては同じ「先生」だが、中には何度教員採用試験を受けても受からないであろう人物も一定数含まれている。その結果、全体的に教育の質が下がっている。

・事務職員の不足
 事務職員の定数が削減される傾向にあり、その分の仕事が教員の負担になっている。欧米の学校では教員と同数の事務職員を置くところも多いそうだが、日本では事務職員の数が経費削減のため減少する傾向にある。
 そもそも事務職員の勤務体系は教員と異なり、昼休みの時間も違えば、土日に学校行事があっても事務職員は出勤しない。(したがって事務職員がいないときは、教員が肩代わりする。)それでなくても日本の学校の教員は事務仕事を多くしなければならなくなっている。地方公務員の中に、教員と同じ勤務体系の「学校事務職員」という枠をつくり、学校事務のスペシャリストを養成することが必要だ。

 多目的人間としての教員

 教育予算の不足は、教員一人一人が多数の業務を掛け持ちする形で、かろうじて補われている。

 尾木ママによれば、日本の先生は平均一人11役、一方海外では、せいぜい4〜5役だという。いかに日本の教員は、一人分の給料で多数の業務をこなしているかわかる。

 多目的教室というのが学校にあるが、先生も多目的なのである。日本人は多目的というのが好きで、多機能のスマホ(ガラパゴス化と揶揄されているが)が真っ先に思いつく。水洗トイレで、タンクに溜める水を使って手を洗えるようにしたのも日本人の発想だという。

 自分の経験を例にすると、①教科(英語)指導(週20コマ)、②クラス担任・副担任、③校務分掌(教務、生徒指導、進路指導等)、④部活顧問(テニス、卓球、バレー、剣道、囲碁将棋)、その他、⑤学年会計、⑥学年通信作成、⑦学校行事の記録(写真・ビデオ撮影)、⑧各種印刷物作成、⑨講演会の看板作成・設置、⑩駐車場整理係、⑪給食関係(毎回サンプルを袋に小分けし冷凍保存、記録簿に毎回記入(冷凍庫の温度の記録--毎回同じなのだが--とか、ネズミが出たかどうかまで記録)、⑫ALTの活用について他校と連絡・調整・報告、⑬SELHi事業のため週2回の会議(会議は他に校務分掌と学年会が毎週1回ずつ、放課後ではなく、授業の空き時間に入っている → 授業研究の時間が不足)、⑭副教材の注文手配・決済、⑮図書館係(司書がいないのでその仕事)、⑯掲示物・ポスターの掲示と取り外し、⑰週1回の朝テスト問題作成・採点・結果掲示・補習・再テスト(昼休みを使う)、⑱英検2次面接指導(年3回)、⑲放課後補習…

 ざっと挙げただけでもこれくらい多岐にわたる。(おかげでいろんな仕事を覚えた。)これらをすべて同時にやったわけではないが、忙しい年には、10種類以上やっていたと思う。

 教員が大変なのは、これらの仕事が同時並行的に進むということである。プロジェクト方式だったり、一つずつこなしていけばいいのなら、集中しやすいが、そうではない。ちょうど、頭の中で皿回しをしているようなもので、寝ていてもワーキングメモリが常に使われており、熟睡できない。ある仕事に気を取られていると他の仕事がおろそかになり、「皿が落ちて」気づくことになる。

 この時勢、失敗に寛容な人(管理職=校長、教頭)はそう多くなく、というか、管理職になる人はみな心配性な人ばかりなので、何か問題が生じると大騒ぎになり、責められる。 

 
 それと、よく誤解されるが、教員には残業手当は出ない。土日に働いてもせいぜい5百円出る程度である。

 夏休みも昔と違い、自由に休めるわけではなく、民間企業同様、年休を取って休んでいる。(GTOの再放送を見ていたら、夫は教師なので夏休み中、家にいて困るという話をしていた。昭和ならまだしも現在そういうことはありません。)

 教育予算が少ないため、日本の教員は、一人で何人分もの仕事をこなさなければならないのだ。その結果どうなるかは明らか。

 授業準備の時間が十分確保できず、児童・生徒の学力向上につながらない。

 上から求められるアンケートや報告が多く、PCを使う事務作業が増え(*)、生徒と直に接触する時間が減っている。そのため生徒の日々変わる様子の変化を把握するのがむずかしく、いじめのサインを見逃すおそれもある。

(*) たとえは、O157がはやると、とたんに給食関係の報告事項が増え、いったん始まるとこの報告は以後ずっと続く。止めてよいというお達しはまず来ない。一つ一つの報告はたいしたことがなくても、日常的にこのような報告を複数こなすのは、他の優先順位の高い仕事(授業準備等)の時間を奪うことになる。結果、生徒のためにならない。

まとめ:

 教育予算を増やし、教員の多目的利用に歯止めを! 

 教師が生徒と接する時間が増えると…

  ①学力アップ 
  ②生徒の様子の変化がよくわかる(いじめのサインをしっかり掴める)

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